それはないやろう! その1
「スタートレック4/故郷への長い道」の「それはないやろう!」

我ら日本人のトレッカーの間では既にお馴染みの問題だが、シリーズ中1、2のヒットであることと、この作品を普通に面白いと云ってしまってる日本人に「それはないやろう!」と思っていた。しかし俺があさはかだった。未だ黒人は人種差別の真只中、白人至上主義の1966年当時のアメリカで、黒人女性が士官クラスで番組レギュラー、東洋人もロシア人もみんな一緒に力を合わせて宇宙を冒険する物語を描いたスタートレックが、不等にアメリカ政府によって祭り上げられた「クジラ問題」を額面通りに扱う訳がないではないか!「訳も判らずクジラ擁護」のバカアメリカ人どもをけむに巻くための周到な演出に過ぎなかったことに気づかず、俺は「それはないやろう!」と怒りまくっていた。さすがはスタートレック!あの映画には「クジラ問題」に関する痛烈な批判が込められていたのである。
(観てない方はビデオでも借りて観てください。その際の注意ですが、この映画は前々作からずーっと続いて来てます。「スタートレック2/カーンの逆襲」から観た方が分りやすいかも知れません。しかしスタートレック知らない人はこれだけ観てもまぁそれなりにこの話の問題点はお解り頂けると思います。)
●まず初めに「クジラ問題」だが、これは時のアメリカ大統領が選挙においてベトナム戦争で使用した枯葉剤による被害などの問題で、批判される鉾先を変えさせるためにでっち上げられたものであることは今日では明白になっている。そもそも同じほ乳類なのに「牛」は食べて良くて、「クジラ」はダメ、「牛」はバカで「クジラ」は利口と云う根拠はなんなのか?単に日本に「牛」を買えって云いたかっただけの話やろ?そしてアメリカ人はバカな「牛」を食べ過ぎてバカになってしまったので、日本人にもバカな「牛」を食べさせて、バカにしてやろうと云う筋書きだったのだ。奴らは既に「狂牛病」の事まで判ってたんやろ?ところが日本人はそこまでバカとちゃうぞコラ!あそこまで堂々と背骨紛れ込ませて気が付かないとでも思ったのか!?
●物語では執拗に「クジラ」を悲劇の主人公扱いだ。23世紀の未来では「クジラ」は人間に絶滅させられているらしい。「日本人が食べまくって絶滅させた」とはもちろん言ってない。当たり前やないか、お前らが「日本にクジラを捕らせない」のに。ところが「狂牛病」の問題はこの現代の21世紀からより深刻化していくのである。そして「牛」が食料にならなくなってしまった未来、「クジラ」を捕獲して絶滅させたのは誰あらんアメリカだったのだ。「牛」がアメリカで商売にならなくなってしまった時、連中が目を付けたのが「クジラ」だったのだ。現在の「クジラ保護」運動は将来アメリカが「クジラ」を「食料」として現在の「牛」並に米国の食品産業にしてしまおうという、極秘計画の元に進行しているプランなのである。昨日まで「クジラを守ろう」と言っていたのに、明日から「クジラを食べよう」に世論を変えさせることぐらい、アメリカにとっては容易いことだ。「頭のいいクジラを食べて頭がよくなろう」ってな事ぐらい、本気で言うぞあいつらは。さすがは超大国、長期に渡るしたたかな戦略を展開している。そして「クジラ」を捕らせてもらえなかった日本はまた乗り遅れてアメリカの言いなりになり、「アメリカからクジラを買わされる」羽目になるのである。一体いつまでアメリカの植民地なのか日本は!?
●そんなバックグラウンドの中での23世紀なので、まぁ「クジラ」は悲劇の主人公だな。そして宇宙から「巨大宇宙船」がやって来る。劇中ではどこから何の目的でやって来たどーゆー種族なのかは全く語られず、過去から「クジラ」を連れて来て宇宙船の呼掛けに応えさせると宇宙船が帰って行き、カーク達一堂も万々歳で幕となる。
●あの巨大宇宙船は実は「捕鯨船」で地球をはじめとするあちこちの星に生息する「クジラ種」を捕獲して回ってるもので、地球には2頭(3頭か?)しか居なかったため、今回は捕獲せず増えるのを待ってまた来ようと引き上げて行った、とする説をどこかのファンサイトで読んだがこれはとても有力な説だと思う。あの「巨大捕鯨船」の中は、宇宙に生息する他の星の色々な「クジラ種」を入れておく「いけす」になっていると言うのだ。なんとも説得力のある説だ。
●私の説もほぼ似たようなものだが、この物語の言いたかった事は、「クジラ」を素晴らしい生き物と祭り上げ、「クジラ」を食料としている国(どーせ日本だろうが)に批判の目を向けさせ、「現在」の「クジラ保護」の気運を盛り上げさせ、「クジラ」をどんどん増やして来るべき米国主導の「将来」の「クジラ食料産業時代」への準備を着々と進めているアメリカ政府の驚異だ。つまりあの「巨大捕鯨船」…じゃなくて「巨大宇宙船」はアメリカの象徴なのである。今は「クジラ」を捕らず「絶滅の危惧」などの批判を受け憎いように、「クジラ」の数を増やしてから食料にしようというアメリカ政府の姿なのである。地球に現れた時に全てお構いなしに突進して来て、猛嵐をおこして地球を滅茶苦茶にしたあの様は、みんなで地球を守ろうと云う「京都議定書」に「俺は知らん」とそっぽ向いてるあの大国の傲慢な姿そのものである。勝手な言い掛かりを付けて他所の国に戦争を吹っ掛けて世界経済を滅茶苦茶にしてしまったあの大国の横暴な姿そのものである。さすがはスタートレック。こんな20年も先の現実を見抜き、あの映画で警鐘を鳴らしていたのである。そんな「スタートレック4/故郷への長い道」はやっぱり素晴らしい映画なのだ。
●スタートレック40周年を記念する映画は当然この「スタートレック4/故郷への長い道」の続編になるはずだったに違いない。バイオ技術で増えまくった「クジラ」は今や地球環境を脅かす驚異になりつつあった。「クジラ」を「食料」にする事など考えもしなかった24世紀の人類は困り果てていたがそこへあの「巨大捕鯨船」…じゃない「巨大宇宙船」がクジラハンティングに地球へ戻ってくるのである。全防衛システムを無力化し「捕鯨」。また何十年後かに「捕鯨」に来るために最小限の繁殖用のつがいを残して「巨大捕鯨船」…は宇宙の果てに向かって旅立つ。しかし、その被害の元凶が「クジラ」だと判断した地球政府は、残された「クジラ」たちを抹殺しようとする。しかしチャレンジャーな主人公が「クジラ」を一口食べたらその美味しさの虜に。かくして「クジラ撲滅」を図ろうとする連邦政府と、「クジラ保護」を訴える主人公一派との対立が…。しかし「クジラ保護」はあくまで食料としてが目的と云う、そんな批判的なストーリーだったに違いない。
それはないやろう!  

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